飲食店の開業に際しては、必要な設備の容量を正確に計算し、適切な設備を導入することが非常に重要です。これには、厨房設備、冷暖房、換気システム、電気設備、水道設備など、さまざまな要素が含まれます。以下、飲食店開業に必要な主要設備の容量について詳しく説明します。
1. 厨房設備の容量計算
・調理機器
飲食店における調理機器の容量は、その店舗の規模や提供するメニューに大きく依存します。一般的に、以下のような設備が必要とされます。
ガスコンロ: 必要なコンロのバーナー数は、メニューの種類や量に応じて決定されます。例えば、中華料理店では多くのバーナーが必要になることが多いです。
フライヤー:揚げ物を提供する場合、フライヤーの容量を考慮する必要があります。1台のフライヤーで処理できる油の容量と、同時に揚げることができる食材の量を確認します。
オーブンやグリル:ベーカリーやピザ店、ステーキハウスなどでは、オーブンやグリルの容量が重要です。予想される注文数に基づいて、同時にどれだけの料理を調理できるかを計算します。
・冷凍・冷蔵設備
食材の保管には、冷凍庫と冷蔵庫が必要です。これらの設備容量は、メニューに使用する食材の種類や量に応じて決まります。
冷蔵庫:生鮮食品、飲料、調理済みの食材などを保存するための冷蔵庫は、容量が不足すると衛生管理や運営に支障をきたします。提供するメニューごとに必要な食材量を考慮し、冷蔵庫の総容量を決定します。
冷凍庫:冷凍保存が必要な食材、たとえば肉や魚、冷凍デザートなどの保管には、適切な容量の冷凍庫が必要です。食品ロスを最小限に抑えるために、適切なストック量を維持できるよう容量を設定します。
・食器洗浄設備
食器洗浄機の容量も、来客数や提供する料理の種類に応じて選定します。
業務用食器洗浄機:一度に洗浄できる食器の量と、1回の洗浄サイクルに要する時間を考慮し、ピーク時にも対応できるような容量を選定します。大規模なレストランでは、高容量の食器洗浄機が必要になることが多いです。
2. 空調設備と換気設備の容量
・空調設備
空調設備は、客席エリアと厨房エリアの両方に適切な温度管理を提供するために重要です。
エアコンの能力:エアコンの能力は、店内の広さ、天井の高さ、客数に応じて計算されます。一般的に、1平方メートルあたり250Wの能力が必要とされることが多いですが、厨房ではさらに強力な空調が必要です。これは、調理中に発生する熱を効率的に除去するためです。
厨房の冷却システム: 厨房は、調理機器からの熱で非常に暑くなるため、専用の冷却システムが必要です。業務用エアコンや換気扇を併用して、適切な室温を維持します。
・換気設備
厨房の換気設備は、調理中に発生する煙や臭いを効果的に排出するために欠かせません。
換気扇の能力:換気扇の能力は、厨房の広さと使用する調理機器の数に基づいて計算します。一般的には、1時間あたり15〜30回の空気交換が必要とされています。これにより、厨房内の空気が常に新鮮で、煙や臭いが迅速に除去されるようにします。
ダクトの配置: 換気ダクトの配置も重要で、煙や臭いが店内に拡散しないように適切な場所に設置する必要があります。
3. 電気設備の容量
・電力供給
飲食店では、さまざまな電気機器を使用するため、適切な電力供給が必要です。電力容量を過小評価すると、ブレーカーが頻繁に落ちたり、機器が正常に動作しなくなる可能性があります。
電力容量の計算:使用するすべての機器の消費電力を合算し、必要な電力容量を計算します。一般的な目安として、飲食店では30kW〜100kW程度の電力が必要とされることが多いです。特に、大型の調理機器や冷凍冷蔵庫を使用する場合、電力需要が増加します。
専用回路の設置:高負荷機器(オーブン、フライヤー、業務用エアコンなど)は、専用回路に接続する必要があります。これにより、他の機器への電力供給に影響を与えることなく、安定した電力供給が可能になります。
・照明
照明は、店内の雰囲気づくりに欠かせない要素であり、電力消費の大きな部分を占めます。
LED照明の導入: 照明には、エネルギー効率の高いLEDを使用することで、電力消費を抑えることができます。店舗の規模やデザインに応じて、適切な照明容量を計算し、必要な電力を確保します。
調光システム:店内の明るさを時間帯や季節によって調整できる調光システムを導入することで、エネルギー効率をさらに高めることができます。
4. 水道設備の容量
・給水
飲食店では大量の水を使用するため、給水設備の容量も重要です。
給水能力の計算:必要な給水量は、厨房での調理、食器洗い、トイレなどの用途に応じて決定されます。飲食店では1日あたり数千リットルの水を消費することが一般的であり、これを供給できるだけの設備が必要です。
水圧の確保:同時に複数の水道を使用する場合に水圧が低下しないように、水圧調整器やブースターポンプを設置することが考えられます。
・排水
排水設備も飲食店の運営において重要な要素です。
グリーストラップの設置:飲食店では、油脂分を含んだ排水が大量に発生するため、グリーストラップの設置が必要です。適切な容量のグリーストラップを選定することで、排水管の詰まりや環境汚染を防ぐことができます。
排水ポンプの導入:地下に厨房がある場合、排水を上層の排水管まで持ち上げるための排水ポンプが必要になります。排水量に応じて、適切な容量のポンプを選定します。
5. その他の考慮点
・防災設備
飲食店では、火災や事故のリスクを最小限に抑えるための防災設備が必要です。
必要な設備は消防法や建築基準法に基づいて決定されます。
・ゴミ処理設備
飲食店では、大量のゴミが発生します。これを適切に処理するための設備も必要です。
ゴミ収集エリアの確保:店舗の規模に応じて、ゴミ収集エリアを設け、適切な容量のゴミ箱を配置します。食品廃棄物が多い場合、冷蔵機能付きのゴミ箱を設置することもあります。
飲食店を成功させるためには、設備の容量を正確に計算し、適切な設備を導入することが不可欠です。厨房機器、空調設備、電気設備、水道設備など、各要素をしっかりと計画し、適切な運営が可能な環境を整えることが重要です。これにより、効率的かつ安全な店舗運営が可能となり、顧客に快適なサービスを提供することができます。
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